ナースあさみの保健室

ナースあさみの頭の中を書いています。心の中はこちらhttps://note.mu/asami300765/m/m0340e4f11c69

歯磨きを3年間しなかった患者さんの背景を紐解くよ

先日、この記事をみてくれた知人から

asami300765.hatenablog.com

 

3年間も歯磨きしないってどういう人なの(´・ω・`)?

と、立て続けに質問をもらったので
ここに書きおこしておきますね(*´∀`*)

 

っていっておきながら、書く前からすごいボリュームになりそうなのが目に見えているので予めいっておきますが


読む皆さん、頑張って!
私も頑張るから(`・ω・´)!!

 

************************************

 

まず、3年間も歯磨きしないって
おそらく一般の人の感覚からしたら

頭おかしいんじゃない?
っていう方面に向かうかと思うのですが

 

 

 

 

はい。それでOKですww
というのも、彼女は生まれつき軽度の知的障害がある方でした。

コミュニケーションや社会的行動に問題はありませんでしたが
斜視があったり、発語に少し癖があったりして就労することは難しく
生活保護を受けていました。

彼女は当時高校生になる息子さんと二人暮らしで
キーパーソンとなるような血縁者はいませんでした。

日本では厳密に決められているわけではありませんが
18歳以下の子どもは意思決定ができるとみなされず
親の代理判断も出来ません。

なので、彼女の命が危機に瀕した場合の連絡先は
息子さんではなく区の職員、となります。

 

 

ここで、社会的弱者である彼女にどうして子どもが?と思うかもしれませんが
こういうケースは意外と多いです。

中学校の先生をしている友人は以前


「知的障害夫婦って本当に避妊しないの!!
コンドームつけると気持ちよくないからですって。
理由がシンプル過ぎてマジなんも言えないよね、こっちは!

だから、金も場所もないくせにどんどん子ども産んじゃって大変。
そのくせ行政のサポートを受けようとしてくれないから本当に厄介で
あそこんちの子供たちの未来が本当に心配・・・」

と、言ってました(´・ω・`)

 

まぁ、知的障害があっても性機能に問題があるわけじゃありませんから
子どもを作るまでの一連のプロセスは誰でも出来ます。
それこそ、快の刺激を受けれる気持ちいいことですし。

むしろ、家事や育児よりも簡単かもしれません。
彼女の場合は歯磨きに顕著に出ていましたが
お風呂に入ることや、毎日下着を変えることにあわられる人もいます。
路上生活者の人を見ててもそう思います。
こうして、毎日しなくてもいいことがクセになっていくと
それを習慣として取り戻すにはものすごいエネルギーが必要になります。

 

それに、言葉選びが難しいところですが
知的障害があり社会的役割を遂行しにくい人たちにとって
誰かの妻になる、というのは比較的実現しやすい自己実現の方法の一つ。
生きがいややりがいを得やすいんだろうと思います。
もっと他の方法で自己実現できる環境を整えることも
行政の大事な役割なんだと思いますが難しいですね。

 

そうそう、彼女が当時40代でしたから
60~70代のご両親がいても良さそうですがお二人共亡くなられていました。

彼女のご両親のことを聞いてもイマイチ的を得た返事をもらえませんでしたが
病死したわけではなさそうです。
なので、彼女とその息子さんはそれぞれが唯一の肉親となっていました。

 

ちなみに、息子さんは健常者でしたが
いわゆる普通の高校生よりかはしっかりしている印象でした。
頭の上にいつも、頼みとするは己のみ!
という標語がいつも浮いているような。

 

 

続いて、彼女が持っていたのは知的障害だけではありませんでした。

生まれつき、心臓の部屋が一つ足りない病気も持っていたんです。
心室中隔欠損症=VSD)と呼ばれるものです。

小さい頃から入退院・手術を繰り返しており
胸の間には当時の手術の傷がいまだに残っていました。

この病気は比較的患者数のいる病気で
治療法もそこそこ確立されていますが
なんせお金がかかる(´・ω・`)

 

ここからが私の想像ですが
彼女が生まれたことでご両親の抱えた心労や経済的苦労は計り知れないと思います。
彼女のご両親が比較的早く亡くなってしまったのも
少なからずこういうことが影響しているのかもしれませんよね。
病死じゃないなら自殺か事故死、ですし。

貧困は連鎖する、とよく言われますが
貧困に陥る一番の要因は離婚でも失業でもなく、病気。
病気は収入が0になるだけでなく多額のお金がかかります。
暮らしが破綻してしまう大きな要因。
だからこそ、病気にならないようにしようマーケティングがうまくいっちゃうんですが(´・_・`)

 

話を心臓にもどしますね。

このVSDの手術をすると心臓の中の状態が大きく変わり
血流が滞るところが出てきます。
血流の滞りは、血栓という血の塊を生んでしまいます。
エコノミークラス症候群なんかでも血栓という言葉はお馴染みかしら?
これが肺や脳に飛ぶと一瞬でお陀仏になってしまうので
血が固まりにくくなるような薬を一生飲み続けなくてはならないですが

こういうプロセスが

彼女の病気の重症度を更に高めてしまうという

ワナ\(^o^)/

 

彼女は歯磨きをしなくなってしまったことにより
喉から菌が入り、それが出来上がりかけていた血栓と合体して
疣贅(ゆうぜいと読みます、菌と血栓の混合コロッケみたいなもの)が
心臓の壁の近くにできてしまい
それが血流にのって飛んだらジ・エンドという状態だったワケです。

治療法はもうひたすら抗生剤が効くのを待つしかありません。
あと、口の中の掃除ね(・∀・)これのみ

 

もう、医療者側としても手詰まり感満載でした・・・!!

 

血液を固まりにくくする薬を止めるわけにもいかず
(止めると新たに血栓ができるため)

出来上がった疣贅を取り除くような心臓カテーテルの検査はVSDの手術後のためできず
(一般的な心臓の作りではないためカテーテルでアプローチ出来ない)

本来安静が基本なのに患者さんは病院の廊下走っちゃうし
(知的障害のためちゃんと病気を理解できていないから)

歯石や汚れを取り除くためにドリルを使いますが
血液サラサラの薬を飲んでいるため当然血まみれで難航しますよね(´・_・`)

 

 

最後になりますが
こういう患者さんは実は結構いるよってハナシですww

もっとエグい事例を聞きたい人はコメント下さい。笑

この事例は日本の医療は福祉を考える上でもいい事例だなと思って取り上げました。
ちなみに、これは10年以上前の事例になりますが
社会的にも経済的にもいろんな問題が前進していると思えません(´・_・`)
むしろ悪化してる・・・?

医療の問題は家庭やお金の問題も大きく絡んできます。
いやむしろ絡んでるから病気になってしまうんですが。

 

さすがに3年間歯磨きしないのは不可能ですが
たかが生活習慣
されど生活習慣ということで
自分の毎日の習慣を振り返ってみるいい機会となったら嬉しいです。

 

さーて、私は歯磨きして寝ますよ(・∀・)

 

ではまた。