ナースあさみの保健室

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なにもネット上にあるクレジットが全てではない、と思う件について

夏を迎えてから
【信頼】という言葉をよく目にするようになってません?
こう思うのは私だけじゃないはず。

 

特に多いのは
お金を稼ぐよりも信頼を稼ごう
という趣旨のコンテンツ。

 

若くて金がないなら「金」を稼ごうとするな。「信頼」を稼げ。 | 八木仁平オフィシャルブログ

日本一信頼される炎上芸人 にしのあきひろインタビュー 超分業制で起こす絵本革命 - KAI-YOU.net

 

ちなみに私も過去にこんなブログを書いています。

 

asami300765.hatenablog.com

 

価値あることをわかりやすく伝わりやすいように編集して提供する。
価格<価値の図式を常に意識することで相手からの信頼を集める。
結果として、コンテンツやサービス・商品を打ち出した時に売れる
みたいな(´・_・`)

 

 

こうして見ているとネット上でしか信頼を貯めることが出来ないように見えるけれど
実はそうじゃないよな、っていつも思っています。

 

それを教えてくれた人、Oさん。
大学病院勤務時代に出会った女性の患者さんです。

ここから少しだけ、私の昔話にお付き合い頂けると嬉しいです。

 

 

***

 

Oさんは80代の女性。
大腸がん末期で入院してきました。
もうやるべき治療は終えていてあとはお看取りだけ。

苦しいとか痛いとかを取ってもらえればいいの。
余計な延命は絶対しないで。
それから意識を取るような薬は使わないで欲しい。
ベッドで寝たきりになるまでのあいだ
出来るだけ自分のことは自分でやりたい。

いろんな人とお話していたいの。


こんなふうに自分の意見・意思をはっきり示す芯の強い女性でした。

 

彼女の元には連日、たくさんの見舞い客が訪れます。
一人暮らしのおばあさん。
家族もいないのにどうして?と思い
同僚が尋ねたところ見舞い客が口々にこう話し始めます。

 

「Oさんは地域の民生委員だったのよ!」
「困ったことがあったらOさんに聞くとなんでもやってくれるの」
「具合が悪い時には見舞いに来てくれたりしてね」
「お話上手で話してるだけで元気になれるのよ」
「Oさんががんって聞いて、いてもたってもいられなくてね」
「しかもお迎えが近いなんて言うもんだから最期のご挨拶に、と思って」

 

面会時間いっぱい、ずっとずっと見舞い客と話しているOさん。
中には見舞い客がボロボロ泣いているのを笑顔で励ますOさんという
不思議な光景もたくさん見ました。

 

 

ちょっと話がそれますが
大学病院って基本的にお看取りだけの入院は受け付けないんです。
大学病院はあくまで治療を優先する場。
お看取りは役割範疇外、ということで
たとえ長年かかりつけであったとしても入院を断られるケースは少なくありません。

なのでOさんは完全に上記の該当者
だったんですが入院を許可されました。
だって、担当医とのコミュニケーションが抜群に上手だったから。

 

私は〇〇先生しか信頼していないからここ以外には入院しません!
家で一人で死んでたら先生のせいだからね!!

担当医はがんと診断された時からのお付き合い。
ここまで来るともう担当医が根負け、ですよね。
該当病棟の師長に直接ベッドが空いてるか相談する始末でした。

 

そんな担当医はOさんの意向を120%汲み取ります。

 

・脱水目的の点滴はしない
・苦痛を取る目的以外の鎮静薬は使わない
・本人が苦しいと思ったらいつでもお腹の水を抜く処置をする
・余計な点滴や管は入れない
・Oさんの自尊心を傷つけるような処置は絶対にしない
 たとえ意識を失っても

 

こういう方針は大学病院としては極めて異例です。
俺の言うことが一番正しい!っていうオラオラ系医師が多いので←あくまで主観
患者さんの言うことをここまで聞いてくれる医師っていうのは本当に珍しいです。

 

そんなOさんも次第に弱っていきます。
いよいよお看取りの時が近づいてきました。

 

亡くなる前日までなんとか歩いてトイレに行き
本当に寝たきりだった時間は半日くらいでした。

 

余計な点滴は処置をしなかったので心的ストレスも少なく
また、身体的にも浮腫が少ない状態だったのでご遺体がとても綺麗でした。
本当に穏やかで豊かな臨終だったんです。

 

亡くなった後に着る服も自分で用意していたOさん。
もうここまで来ると医療者側から見ても天晴れ!という感じでした。

 

印象的だったのは後輩がボソッといった

人って、ああやって死ねるんですね

という一言。

 

これまで私も
お看取りというのは病気との闘いに疲れ果てて哀れな姿で亡くなっていく
というイメージがあったので、Oさんの死に様はいい意味で衝撃的でした。

***

 

はい、ここまでがOさんのエピソード。

結構お腹いっぱいだと思うのですが
もう少しお付き合い下さいね(*´∀`*)

 

 

Oさんのエピソードを振り返ってみると
いろんなところで【信頼】が役立っていることがわかると思います。

 

お金でも金券でもチャンスでもなく
【信頼】じゃないと意味がない、という部分が大きなポイント。

 

お金を積んだら大学病院に入院出来るという訳じゃないし
金券を配ったら地域の人が見舞いに来てくれる訳じゃないし
医者にチャンスを与えたから自分の言うことを聞いてくれた訳じゃない。

 

これまでの人生で貯めておいた【信頼】が
最期の場面を大いに彩った、という感じでした。

 

しかも、Oさんのすごいところは
亡くなった後にも【信頼】を貯めたところ

 

担当医をはじめ、関わった医療関係者みんなが
Oさんの死に様は見事だった
人はああやって死ぬこともできるんだ、と口を揃えて話していました。
医療関係者の死の概念を大きく変える出来事、だったはずです。

今も同僚と真面目な話をするときは必ずOさんの話が出ます。
それくらい、Oさんの終末期の過ごし方にはインパクトがありました。

 

 

ここまでくると
【信頼】を貯めるにはリアルが一番早くて強い
という結論になりませんか?

 

ネット上の顔の知らない相手からの信頼を集めるよりも
今、隣の人の役に立つことを考えて実践する。

 

もちろん、ネット上にあるクレジットも大切ですし
それで成り立っているクラウドファウンディング・VALUには
そこにしかない価値があります。

 

ただコンテンツやサービスの先には必ず人がいます


人に向けるベクトルはネットだけじゃなくリアルもあるよ
リアルの方がとっかかりやすいよね?
と考えてみました(・ω・`)

 

Oさんの事、いつか書きたいと思ってたから
ひとまず良かった。うん。

 

ではまた。